フェニルアラニンとは、保湿作用やコンディショニング作用あり
フェニルアラニンは、芳香族アミノ酸に属し、側鎖にベンジル基を持ち、アミノ基（-NH2）とカルボキシ基（-COOH）を含む双性イオン化合物です。
フェニルアラニンは、タンパク質の構成成分としても生物内に広く存在し、カボチャの種子やもやしのタンパク質などの植物にも多く含まれます。
また、スキンケア製品やヘアケア製品、洗顔料など様々な化粧品にも配合され、保湿作用やコンディショニング作用など様々な効果が期待されます。
1994年に富山医薬大学によるアミノ酸の皮膚透過機構に関する研究によると、フェニルアラニンは疎水性を持つため、皮膚透過性を有していると考えられます。
疎水性アミノ酸の透過係数はアラニン > バリン > イソロイシン = ロイシンの順であり、どの中性アミノ酸も酸性側で高い透過性を示したとされます。
ただし、健全な皮膚においては角質層がバリアの役割を果たしているため、アミノ酸は経皮吸収されにくく、また時間をかけて吸収される傾向があり、即時的な作用を期待することはできません。
しかし、皮膚のバリア機能が低下した場合にはより高い吸収性を示すことがあります。
そのため、フェニルアラニンを含む疎水性アミノ酸は、健全な皮膚においては持続的な水分保持剤として作用することが期待されます。
経時的に少しずつ皮膚に吸収されるため、長時間にわたって保湿効果を発揮する可能性があると考えられます。
バリア機能が低下した皮膚においては、通常の健康な皮膚と比較して、物質がより簡単に吸収されてしまう傾向があるため、優れた水分保持剤となる可能性が高いと考えられています。
現在までのフェニルアラニンの安全性については、以下のようなデータがあります。
まず、食品添加物の指定添加物リストに収載されており、医療分野でも有効性および安全性の基準をクリアした成分として、日本薬局方にも収載されています。
更に、50年以上の使用実績があります。
皮膚刺激性に関しては、非常に低く、ほとんど問題がなく、皮膚感作性（アレルギー性）も同様であることが試験データから明らかになっています。
また、眼刺激性については詳しい情報がなく、まだ解明されていない部分がありますが、成分が通常使用される等量および化粧品に配合される量の範囲内においては、一般に安全であると考えられます。
