加水分解水添デンプンとは、潤いや滑らかさを与え、 髪の毛をコンディショニング
「加水分解水添デンプン」は、
元々はデンプンから
水素を与えて作られた糖アルコールのことで、
非還元糖と呼ばれます。
しかし、
化粧品表示においては、
この素材は単一の物質を
指す名称ではなく、
デンプンを加水分解することによって
生成される混合物の総称とされます。
この混合物には、
単糖や多糖の種類が含まれており、
例えば
ソルビトール、マルチトール、
マルトトリイトール、
マルトテトライトール、
マルトペンタイトールなどがあります。
また、
この素材には、
低粘度のタイプと
高粘度のタイプがあることが知られています。
低粘度のものは主に
マルトトリイトール以下の
三糖糖アルコールが含まれており、
高粘度のものは
四糖以上の多糖が含まれています。
加水分解水添デンプンは、
主に以下のような特徴的な効果をもたらします。
・水分量を増加させることによる保湿作用
・気持ちのよいさっぱり感や
しっとり感を与える効果や、感触の改善
・皮膜を形成する効果
・潤いや滑らかさを与え、
髪の毛をコンディショニングする効果
・泡立ちを改善する効果や、
泡持続性を高める効果
これらの特性を活かし、
加水分解水添デンプンは、
スキンケア製品や
ボディケア製品などの
多岐にわたる化粧品に使用されます。
特に、
保湿効果が重要な製品においては、
加水分解水添デンプンの特徴が
有効に活用されることが多いです。
なお、
加水分解水添デンプンの
保湿効果には、
使用する素材の種類によって
差異があることが知られており、
マルトトリイトールを
主成分としたものは、
平均分子量が500程度と
比較的小さく、
角層細胞に入り込んで
保湿効果を発揮します。
一方、
平均分子量が1,000程度と
比較的大きい高分子量のものは、
角層細胞に
入り込むことができず、
保湿効果に対して
影響を与えないとされています。
「さっぱり感」と
「しっとり感」の表現の違いや、
「ブレーキ感」という特定の感触の向上について考えると、
加水分解水添デンプンとは、
デンプンを加水分解した際に
得られる単糖や
多糖の糖アルコールを
含む高分子量の混合物であり、
スキンケア製品やメイクアップ製品などで、
ベタつき感を低減し
「さっぱり感」を与えつつ、
「ブレーキ感」を向上するために用いられます。
「ブレーキ感」とは、
塗布した側の肌と塗布する前の肌との間に
粘着力が生じる感触のことで、
肌への粘着性が高い特徴を持ちます。
また、
マルトトリイトールを主成分とした
加水分解水添デンプンは、
しっとり感を与えて
うねりやまとまりの良い毛髪や、
泡質をキメ細かく改善して
泡持続性を高めるために使用され、
主にシャンプーやコンディショナー、
ボディソープなどに配合されます。
加水分解水添デンプンは、
高分子量であるため、
水に溶けやすく皮膜を
形成しやすい特性を持ち、
スキンケアやヘアスタイリング製品において、
皮膜を形成して
製品の効果を高める役割を果たします。
加水分解水添デンプンは、
現在まで20年以上も使用されているため、
安全性については
十分に実証されています。
また、
皮膚刺激性や眼刺激性、
皮膚感作性(アレルギー性)、
光毒性(光刺激性)についても、
ほとんどないという結果が
得られており、
通常の化粧品配合量および
使用方法において、
一般的に安全性に問題のない成分で
あると考えられます。