プロリンとは、格段に高い経皮吸収性を持ち、優れた水分保持剤として機能
プロリンは、アミノ酸の一種であり、双性イオン化合物です。
プロリンには、プロリンミノ基とカルボキシ基(-COOH)が含まれています。
中性アミノ酸のイミノ酸に分類されており、小麦やトウモロコシなどの穀類をはじめ、ヒト体内においてもコラーゲンに多く含まれています。
化粧品に配合される際は、保湿作用やヘアコンディショニング作用を持つことが主な目的とされています。
プロリンは、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、アウトバストリートメント製品、シャンプー製品、ヘアトリートメント製品、メイクアップ製品、クレンジング製品、洗顔料など、様々な製品に汎用されています。
プロリンは、保湿効果を持っていますが、健常な皮膚にはバリア機能があり、経皮吸収されにくいため、即時的な保湿効果はほとんどありません。
しかし、経時的に少しずつ経皮吸収されることが示されており、持続性のある穏やかな水分保持剤として機能することが予想されます。
一方で、肌荒れや皮膚炎などでバリア機能が低下した皮膚においては、プロリンは格段に高い経皮吸収性を持ち、優れた水分保持剤として機能します。
プロリンと、グリセリン、乳酸NaまたはPCA-Naのいずれかを併用することで、角質層におけるプロリン蓄積量が増大し、さらに高い保湿効果が期待できます。
プロリンとPCA-Naの相乗効果については、1982年に味の素によって報告されており、確かなものとされています。
プロリンと、イソロイシンまたはロイシンを同時に使用すると、角層水分量が増加し、水分保持能に相乗効果が認められます。
この実験は、脂質二重膜に直接各アミノ酸を添加したものであり、アミノ酸の皮膚透過性も明らかにされています。
そのため、ヒトの皮膚においても水分保持効果が期待できます。
その上、プロリンは、食品添加物の既存添加物リストに収載されているほか、医療分野でも汎用されており、有効性および安全性の基準を満たしている成分として日本の薬局方に収載されています。
また、医薬部外品原料規格2021にも基準を満たした成分として収載されています。
さらに、50年以上の使用実績があり、皮膚刺激性や眼刺激性、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もほとんどないことが明らかになっています。
以上のことから、プロリンは一般に安全性に問題がない成分であり、化粧品に配合しても通常の使用下では安全に使用できると考えられます。
また、皮膚刺激性や皮膚感作性についても、報告された試験データから共通して皮膚刺激や皮膚感作はないと報告されているため、一般的にはほとんどないものと考えられます。